大幅な関税発動前に、労働市場は堅調さを維持
米労働省が7日に公表した2025年3月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数(事業所調査)は前月差+22.8万人と市場予想(同+14.0万人)を大きく上回りました(図表1)。
過去2ヵ月分が計▲4.8万人下方修正されたことで、雇用のモメンタムを示す3ヵ月移動平均は+15.2万人(2月:+18.4万人)と減速したものの、6ヵ月移動平均でみると、+18.1万人(2月:+18.3万人)と堅調なペースを維持しています。
パウエルFRB議長は雇用拡大の長期的な巡航速度は推定10万人増/月との考えを示していることや、DOGE(政府効率化省)による連邦政府職員の削減が進んでいることなどを踏まえると、労働市場は依然底堅さを維持していると考えられます。
内訳をみると、製造業が前月差+0.1万人(2月:同+0.8万人)と増勢が鈍化したものの、サービス業(2月:前月差+9.0万人→3月:同+19.7万人)、政府部門(2月:前月差+0.1万人→3月:同+1.9万人)が拡大しました(図表2)。
もっとも、政府部門のうち、州政府及び地方自治体(2月:前月差+1.2万人→3月:同+2.3万人)では雇用の増加が維持されているものの、DOGE(政府効率化省)による雇用削減の影響から、連邦政府(2月:前月差▲1.1万人→3月:同▲0.4万人)は減少が続いています。
サービス業ではヘルスケアが前月差+5.4万人と安定推移しているほか、天候の改善により娯楽・宿泊が増加に転じました。