対中追加関税の引き下げを受け、消費者マインドはいったん改善
民間調査機関のコンファレンスボードが公表した2025年5月の消費者信頼感指数は98.0と4月(85.7)、市場予想(87.1)をともに大きく上回りました(図表1)。
内訳をみると、現況指数が4月の131.1から5月に135.9へ、期待指数が55.4から72.8へ揃って上昇しました。今回の調査の締め切りは5月19日であり、12日にトランプ政権が発表した対中追加関税率引き下げ(145%→30%)が好感されたことから、米経済の先行きに対する懸念が後退したとみられます。
他方、これに先立って公表されたミシガン大学調査では、5月の消費者信頼感指数が50.8と4月(52.2)から低下しました。ミシガン大学調査の締め切りが5月13日であった点を踏まえると、対中関税引き下げの影響が反映されなかったとみられます。
この先、ミシガン大学調査を含め消費者センチメントの改善が示されれば、個人消費の失速には至らないと考えられます。
同時に公表された1年先の期待インフレ率は、2024年11月の5.0%を底に2025年4月に7.0%まで上昇したものの、5月には6.5%へ低下しました(図表2)。
対中追加関税率の引き下げを受け、物価上昇に対する過度な懸念が後退したと考えられます。もっとも、インフレ再燃を回避するためには、消費者の中長期のインフレ期待が安定的に維持されていることが重要です。
FRBが重要視するNY連銀の調査結果では、3年先の期待インフレ率が3月の3.0%から4月に3.2%へ上昇しています。次回5月の調査(6/9公表)で、コンファレンスボード調査と同様、3年先の期待インフレ率が低下に転じるか注目されます。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…5月最終週の「米国経済」の動き』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
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