時計はオーバーホールが重要!メリットやタイミングを徹底解説

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株式会社コメ兵
時計はオーバーホールが重要!メリットやタイミングを徹底解説
(※写真はイメージです)

時計を手に入れたら機械式かクォーツ式かに関係なく「オーバーホール」を意識しましょう。オーバーホールとは、ムーブメントの分解清掃のことで、腕時計を長く安心して使い続けるのに欠かせません。

ここではオーバーホールの工程やメリット・デメリット、費用などを解説しています。必要性を理解して、時計を末永く使い続けましょう。

時計にオーバーホールが必要な理由

オーバーホールは、腕時計を安心して使い続けるために非常に重要です。定期的に行うことで、深刻な故障を防ぎ、寿命も延ばせます。

それではオーバーホールの大まかな工程を見ていきましょう。

 

オーバーホールとは

腕時計のオーバーホールとは、心臓部に当たるムーブメントの分解清掃のことで、主に4つの工程でおこなわれます。

①分解
腕時計を可能な限り分解します。ケース、ブレスレット、ムーブメントに分けたうえで、ムーブメントはさらに歯車、ネジ単位にまで分解されます。


②洗浄
超音波洗浄機を用いて、目に見えない汚れやホコリを丁寧に除去します。超音波洗浄機では落としきれない汚れは、ハケやベンジンを用いて徹底的に手洗いします。


③組み立て
分解した各部品を元通りに組み立てます。ムーブメントの組み立てでは、スムーズな動作のための注油が大切です。


④検査
時計が1日でどれくらい進む・遅れるかや、機械式時計ならゼンマイをいっぱいに巻き上げた状態で、動き続ける時間をチェックします。防水仕様の時計の場合なら、防水性能のチェックもあわせて行い、異常がなければ、オーバーホール作業は完了となります。

 

修理との違い

オーバーホールが分解清掃であるのに対し、修理は「交換」や「修復」が中心となります。

オーバーホールは腕時計の機能を維持するために、修理は不具合のある腕時計を正常な状態に戻すために行われます。

一見正常に動作しているように見える腕時計でも、修理が必要になる場合もあります。

たとえば、オーバーホールでパーツの劣化や破損が見つかった場合や、風防のガラスの小さな欠けで防水性能を満たせなくなった場合などです。

オーバーホールを通じて問題があるパーツが見つかった場合には、予防的な修理を行うことができます。

結果として、重大な故障を未然に防ぐことができ、安心して時計を使い続けることができます。

 

メンテナンスとの違い

オーバーホールは、大規模なメンテナンスの一種です。

オーバーホールは歯車、ネジ単位まで分解し、徹底して行われるメンテナンスで、実施には高い技能や経験が必要です。オーバーホールはメーカーや専門業者に依頼する必要がありますが、日常的なメンテナンスの多くは自分で対応可能です。たとえば、ベルトやケースを柔らかい布で拭いて汚れを落とすのも、メンテナンスの一環です。

メンテナンスは腕時計の故障を未然に防ぎ、快適に使い続けるのに欠かせないものです。日常的に行うお手入れと同様に、メーカーや専門業者の手によるオーバーホールが必要なのです。

 

オーバーホールが必要なのは機械式時計だけじゃない

オーバーホールが必要なのは、ゼンマイで動く機械式腕時計だけではありません。

電池で動くクォーツ時計も、モーターや歯車で駆動している場合は、機能を維持するためにオーバーホールが必要です。見積もりや分解時に問題のあるパーツが見つかると修理が必要になることや、組み立て時に注油してスムーズに動作するようにするのも同様です。

一方で、モーターや歯車といった機械的構造を持たない、デジタル表示のみの時計にはオーバーホールは不要です。

 

時計をオーバーホールするメリット

腕時計のオーバーホールの工程などを見てきました。とはいえ、問題なく動いているのに、わざわざ分解清掃するのはもったいない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、時計のオーバーホールには大きなメリットがあるのです。

 

時計の寿命を延ばせる

クォーツ時計の寿命は、一般的に10年前後とされています。

一方で、機械式時計は定期的にオーバーホールを行い、丁寧に扱えば一生使い続けることも可能です。ただし、非常に繊細な構造のため、適切なお手入れを怠ると10年ほどで使えなくなってしまうこともあります。

時計の寿命とは、通常、修理ができなくなったときに訪れるものです。たとえば、メーカーの交換パーツが供給終了となった場合、多くは修理自体が難しくなってしまいます。

しかし、定期的なオーバーホールによって部品の劣化を抑え、寿命を延ばすことは可能です。注油によって歯車の摩耗を防ぎ、防水性能の維持によってムーブメント内部のサビや腐食も防げます。

大切な時計を長く使い続けるためには、オーバーホールは非常に有効な手段と言えるでしょう。

 

精度が向上する

腕時計の正確さが落ちる原因は、帯磁の影響や油切れ、電池の減りなどですが、オーバーホールはこれらの原因を取り除いてくれます。

帯磁とは、時計内部のパーツが磁気を帯びることで、動作が不安定になる現象です。

帯磁は機械式、クォーツ式を問わず時計の大敵ですが、オーバーホール時には特別な機械で磁気を抜くのが一般的です。

注油は部品の組み立て時に行われ、ムーブメントの動作をスムーズにしてくれます。クォーツ時計のオーバーホールでも注油は行われ、あわせて電池交換を依頼すれば、電圧の低下にともない精度が落ちることもありません。

またオーバーホール後の検査の結果、精度に問題があった場合、機械式時計なら緩急針などのパーツを調節して精度を向上してくれるでしょう。

 

大きな故障を防げる

大きな故障の修理にはまとまった費用がかかることが少なくありません。しかし、オーバーホールによってそうした故障を未然に防ぐことが可能です。

その中でも特に重要なのが、ムーブメントへの注油作業です。

たとえば、リューズが折れるトラブルは、油切れによって巻上げ動作が重くなり、それに気づかず力を入れすぎてしまうことで発生しがちです。

このような場合、リューズの軸が折れ、修理には部品の交換が必要になります。

また、摩耗や金属疲労が進んだ歯車も交換が必要です。これもメーカーの在庫状況によっては高額な修理費用がかかる可能性があります。

定期的な注油により、摩耗や金属疲労の進行を大幅に抑えることができます。さらに、時計内部への浸水や古い電池による液漏れといったトラブルなど、オーバーホールで未然に防げる故障がたくさんあるのです。

このように、オーバーホールは単なるメンテナンスではなく、将来的な高額修理を防ぐための投資とも言えるのです。

 

時計をオーバーホールするデメリット・注意点はある?

時計の寿命を延ばせる、正確さが向上するなどのメリットがある一方で、オーバーホールにはデメリットや注意すべき点もあります。中でもオーバーホールを考えている方にとって、費用や業者選びは頭が痛い問題のはずです。

 

費用がかかる

オーバーホールの費用は、たとえばロレックスのデイトナを正規で行うと、2025年現在、8万8,000円かかります。

上記の料金は、修理が必要ない場合です。修理は不具合がなくても、ロレックスが必要と判断した場合、修理が行われ、その分の費用が上乗せされます。

オーバーホールを定期的に行う習慣がない方は、とりわけ費用が重く感じられるかもしれません。

しかし、オーバーホールによって時計を安心して長く使えるというメリットは、費用以上の価値があるでしょう。外装の研磨もあわせて依頼すると、見た目もリフレッシュします。

 

依頼する業者で精度が変わってくる

正規のオーバーホールと異なり、専門業者による作業には使用パーツや技術力にばらつきがあります。依頼先によっては、精度が落ちてしまう可能性も否定できません。

たとえばロレックスの正規オーバーホールでは、防水性能などを新品同様の精度に戻すために、ケース交換など一見不要とも思える対応が行われることもあります。

一方、非正規のオーバーホールは正規とくらべて費用を抑えられる反面、必要最低限の作業しかおこなわないこともあり、結果的に新品時より精度が劣ることがあります。業者によっては非正規のパーツを用いたり、経験の浅い技術者が担当することもあり得ます。

非正規のオーバーホールの利用を考えているなら、業者選びには慎重さが必要です。

 

オーバーホールするおすすめタイミング

大きな故障につながりかねない油切れなどを防ぐために、不具合がなくてもオーバーホールは定期的に行うのがおすすめです。機械式時計なら3〜5年、クォーツ時計なら5〜7年に一度はオーバーホールを依頼してください。

 

機械式時計は3~5年

推奨されるオーバーホールの間隔が3〜5年と幅があるのは、時計の年式や使用頻度、使用環境によって異なるためです。

次の3つのケースでは、3年ごとのオーバーホールを検討してください。

 

・古い時計を使っている
・毎日身に着けている
・湿度の高い環境で使用している

 

購入後から時間がたった時計は歯車の軸などに狂いが生じ、油切れが起こりやすくなります。購入から20年以上たったら、短めの周期でオーバーホールしてください。

また、身に付けている時間が長いほど油切れが起こりやすくなり、湿度の高い場所での使用は、オーバーホールとあわせて防水性能の確認が必要です。

いずれも3年に1度のオーバーホールがおすすめです。

 

クォーツ時計は5~7年

クォーツ時計のオーバーホールが5〜7年と比較的長いのは、内部機構にかかる負担が少なく、油切れも起こりにくいためです。

クォーツ時計のモーターは、機械式時計のゼンマイと比較すると力の弱いものが使われています。それでも機械式時計と同様に、購入から20年以上たっているなどのケースでは、短めの周期でのオーバーホールがおすすめです。

あわせて注意したいのは、クォーツ時計特有の電池切れです。長時間動かさないでいると油の劣化が早まり、電池が切れたまま放置すると、液漏れによって内部が腐食する恐れがあります。

早めのオーバーホールとあわせて電池交換も依頼すると、さらなるトラブルの防止になり、時計の寿命も延ばせます。

 

次のような症状が出たらオーバーホールしよう!

ここからは3年や5年などのタイミングにかかわらず、オーバーホールを依頼した方がよいタイミングについて解説します。

紹介する症状は、大きな故障の前触れのようなものです。

定期的なタイミングでなくても、オーバーホールを行うことで高額な修理費を防げる可能性があります。

 

時間が大幅にずれるようになった

時間が大幅にずれる原因として機械式・クォーツ両方であげられるのは、油切れや磁気帯びで、いずれもオーバーホールで解決します。

歯車やゼンマイの劣化も考えられますが、定期的にオーバーホールをおこなっていた場合、劣化の程度もさほどひどくはないはずです。部品交換しなくとも、オーバーホールだけで解決するかもしれません。

さらに、クォーツ時計特有の原因として電池の劣化が考えられますが、電池交換とあわせてオーバーホールの依頼がおすすめです。

オーバーホールによって注油が施され、動作がスムーズになれば、電池の持ちも向上し、部品の劣化も抑制されます。

 

機械音が大きくなった

機械音が大きくなった原因としてまず考えられるのは、油切れです。歯車などのパーツ同士がすれることが原因のため、オーバーホールによる注油で改善するでしょう。

また、ゆるんだパーツも機械音の原因となり、自動巻き時計では、巻き上げローターの回転音が目立つこともあります。オーバーホールでは、組み立て時にパーツのゆるみや、動作とともに発生したローターの取り付け不良も改善されます。

たとえば、ゆるんだパーツをそのままにしておくと、破損につながってしまいます。大きな修理金額が必要になる前に、オーバーホールを依頼してください。

 

ガラスが曇って見にくくなった

風防や裏蓋のスケルトン部分が曇る原因は、時計内部への水分の侵入です。

発散されなかった水分が、ガラスの曇りとして表れているのです。そのままにしておくと、ムーブメントなどのサビや腐食の原因になります。

オーバーホールではパーツに分けての洗浄後に、完璧に水分を乾燥させてから元通りに組み立てます。防水を担うパーツも交換され、裏ぶたもしっかりと止められるので、浸水の心配は当分ありません。

時計内部への浸水は、大きな故障につながるだけでなく、場合によっては修理ができないほどのダメージにつながります。なるべく早くオーバーホールを依頼してください。

 

気になるオーバーホールの費用は?

次の表はロレックスの主なモデルの、正規オーバーホールの料金表です。この価格は「正規サービス」での目安であり、これよりも低価格で対応する民間業者も多数存在します。

 

ロレックスの主なモデル 料金目安
デイトナ、デイデイト 110,000円
エクスプローラー、サブマリーナ、GMTマスターなど 99,000円〜121,000円
デイトジャスト 99,000円〜121,000円
エアキング 82,500円

 

料金表で参考になるのは、クロノグラフ(デイトナ)や貴金属製(デイデイト)のオーバーホール料金が最も高く、シンプルな3針(エアキング)が最も安いことです。

デイト表示が付いたり(デイトジャスト)、高い防水性が求められたり(エクスプローラー、サブマリーナ)、2つの時間帯が表示できたり(GMTマスター)と、機能が豊富になるほど料金が高額になります。これはロレックスだけでなく、ほかのメーカーも同じです。
 

まとめ

腕時計のオーバーホールは、機械式・クォーツを問わず必要です。

時計を分解して、汚れやホコリを取り除き注油することで、腕時計の正確さを保つ、寿命を延ばす、大きな故障を予防するなどのメリットが得られます。

オーバーホールは定期的に実施するのが理想ですが、費用や技術レベルは業者によって異なるため、依頼先の選定には十分な注意が必要です。

不具合がなくてもオーバーホールを意識することで、大切な時計をいつまでも使い続けることができるでしょう。